スピリチュアル・カウンセラー 天枝の日誌 (10) 「使枝・・・友の死」


日曜日の午後、さっきまで満席だったのが、一気に全席が空いた。
こんなことは初めてだ。
天枝と使枝は昨日の読書会を思い出しながら、お互いの感想を話し合っていた。

そこへ、塩谷さんが入って来た。

 「やあ、こんにちは。
  松本さんもすぐに来ますよ。」

そう言い終わるか終らないかのうちに、松本さんが入って来た。
急いで歩いてきたらしく、額に汗が滲んでいる。

天枝はすかさず、「昨日の帰り際に言っていたこと?」
と聞くと、塩谷さんが「あ、天枝さん覚えていましたね。」、と照れ笑いをした。

松本さんと塩谷さんはカウンターに座り、天枝と使枝はカウンターの中に入り、立って話をすることにした。

松本 「使枝さんって、必要なこと以外あまり話さないんですね。
     いつもキッチンに立っているから、そう感じるだけなのかな。」

天枝 「使枝は引っ込み思案で、人見知りも激しくって。
     子供の頃は陽気で誰とでも話をしていたのに、思春期を過ぎた
     頃からかしら、急に人と話をしなくなったんですよ。
     あのことがずっと心に突き刺さったままなのね」

塩谷 「あのことって? 何かあったんですか?
     あ、聞いちゃいけないことなのかな」

使枝 「真理が分かったから吹っ切れたことなんだけど・・・
     心の奥にはまだ少し残っているみたい。」

そう言いながらも、ポツポツと話し始めた。

使枝が中学の時だった。
マリと言って、とても仲の良い友達がいた。
部活が同じだけでなく、登下校もいつも一緒に歩く仲だった。
金曜日にはマリが使枝の家に泊まりに来て、夜通し話すこともあった。
好きな男子のこと、教師たちのこと、友達のこと、好きなアイドルグループのことなど、何から何まで屈託なく話し合える友達というのは、かけがえのない存在だ。

使枝の家はマリの家より学校に近いので、マリは使枝の家で宿題をしてから帰って行くのが日課になっていた。
勉強だけでなく、2人でおやつを作ったり、音楽を聴いたり、何しろ、本当に気が置けない姉妹のような間柄だった。
使枝の母親が冗談交じりに、「あなたたち2人は、顔かたちは違うけど、双子みたいなものね」と言って笑うほどに。

ある日の夜、マリの父親が慌てた様子で電話をかけてきた。

  「い、今、警察から連絡があって、マ、マリが交通事故で○○病院に
   搬送されたって。
   事故の状況も、無事なのかどうなのかも、全くわかりません。
   私たちも今から病院に行くところです。」

使枝と天枝が母親の運転で病院に駆け付けると、マリの両親がいて、「即死だったらしい」、と父親が真っ赤になった目でおしえてくれた。

   信じられない。
   さっき学校から一緒に帰って来て別れたばかりだったのに、
   亡くなったって・・・?
   即死!?
   そんなはずはない、何かの間違いに違いない。
   だって、さっきまで一緒に・・・
   どうして、どうしてこんなことに・・・

使枝はすぐには状況が把握できず、とにかくマリに会わせてほしいと何度も看護師に頼んだが、見ない方が良い、と言われて断念せざるを得なかった。

病院の帰り、マリが事故に遭遇したという場所に行ってみた。
信号機のない交差点で、街灯の電灯が切れているため、暗くて良く見えない。
母親が車から懐中電灯を持ってきた。
すでに掃除はされていたが、それでも血の跡が広がっているのがわかった。
それを見て初めて、マリの身に起こった事の重大さに震えが来た。
すると、とたんに胸が苦しくなり、その場に座り込んでしまった。

亡くなる1週間前のこと、いつになく沈んだ感じで、母親への不満を漏らしたことを思い出した。
彼女自身はとても明るいし、回りを笑わせるのが好きだったから、不満を口にするのは珍しいことだ。
そういえば、私はマリの家に遊びに行ったことがない。
いや、行ったことはあるが、「あそこだよ」と見せてくれただけで、中に入ったことは一度もない。
家族にも会ったことがない。

自分の家の方が学校に近いから、マリの家に遊びに行かないのは当然のように思っていた。
その時、彼女が言うには、「母親は口うるさい人で、勉強のこと、部屋の片づけのこと、部活のことなど、口を開けば小言が飛んで来るから辛いの・・・」と言っていた。
口答えをするとヒステリックになり、物を投げつけることもあるとか。

   なぜ自分はこんなに目の敵にされるのだろう、何が気にくわない
   んだろう。
   考えても考えても、わからないの・・・

年子の弟が1人いるが、母親が弟を叱ったところは見たことがないぐらい、溺愛しているとも言っていた。
弟もそれを知っていて、いつも姉のマリを小バカにするような態度をとるほどだったと言う。
父親もそんな状況を知りながら、かばうわけでもなく、母親をたしなめることもせず、見て見ぬふり。

そんな両親だったから、小学校の高学年になると、マリは両親を避けるようになった。
できるだけ顔を合わせないようにし、家にいる時は自分の部屋に閉じこもることが多くなっていったと言う。
そんな家庭だったから、なるべく家には帰りたくなくて、使枝の家に居たのだとか。
最近では、母親に「マリ!」と呼ばれるだけで、一瞬のうちに心が凍ってしまう、と言っていた。
マリが言うには、「母親の小言は、父との不仲の不満のはけ口として、自分にぶつけているのかもしれない」、と。

この時、初めてマリの家庭のことを詳しく聞いたように思う。
普段の彼女の様子から見ると、そんな家庭だとはとても想像もできないほどだった。

「プチ家出して親戚の家にでも行ったらいいじゃない。そうしたら気分も変わるし、お母さんだって気が付いてくれるかもしれないじゃない」、とアドバイスしてみた。
すると、マリはその時、「そうだね、そうしてみようかな」と言い、急いで家に帰って行った。

家に帰ると、ありったけの小遣いを財布に入れ、荷物をまとめて家を出た。
伯母さんが住んでいる町まで電車で行き、そのあと道路沿いを歩いていた時、左折するトラックに巻き込まれてしまったのだ。
時刻は夕方。
一気に暗くなっていく魔の時間帯だった。

   自分があんなアドバイスさえしなければこんなことにはならな
   かったかもしれない。
   どうしてあんなことを言ってしまったのだろう。
   でも、一生懸命考えた末のアドバイスだった。
   自分の言葉が直接的な原因ではないのは分かっている。
   周りの人もそう言ってくれる。
   しかし、当時の使枝にとっては、自分さえ余計なことを言わなければ
   こんなことにはならなかった・・・

そうした悔恨の思いばかりが頭と心を占めていた。

使枝にとってマリは掛け替えのない親友であり、姉妹だったから、その彼女がいなくなった現実は、使枝の生活を一変させてしまった。
家に居ても学校に居ても、何をやっても悲しみと寂しさが込み上げてくる。
周りの人は、「友達なんてまた出来るよ」、とか、「また作ればいいじゃない」って言う。
そんなに簡単なものじゃない・・・

マリが亡くなって1か月ほどしたある日、とんでもない話を耳にした。
マリのお母さんが、「あの子は自分が産んだ子供じゃなかったから、いなくなってせいせいした。 おまけに、保険金も入ったし、最後に親孝行してくれたよ。」と言っていたというのだ。

   どういうこと?  本当にそうなの?
   使枝はマリの両親のところに駆け込んだ。

 「あの子がいなくなったから言えるけど、あの子は私が産んだ子じゃ
  なくて、夫と水商売の女との間にできた子なのよ。
  ある日突然その女が来て、無理やり生まれたばかりのマリを置いて
  行ったのさ。
  私は何がなんだかわからなくて、施設にと思ったけど、主人が土下座
  をして謝って頼むものだから。
  水商売の女が産んだ子だから、主人の子かどうかもあやしいものさ。
  それに、その時私には初めての子を妊娠したばかりだったし、まだ
  離婚も考えられなかったから、受け入れるしかなかった。
  籍? 生まれたばかりだったから、戸籍は私たち夫婦の子供という
  ことになってる。
  次に下の子が生まれたんだけど、その子は私の実の子でしょ。
  自分の子は無条件に可愛くってねえ。
  年子になるから、両方とも同じように手がかかるんだけど、
  そうすると、どうしても下の子に目が行ってしまって。
  そうするとマリのことがうっとおしくなっちゃうんだよね。
  産みの親より育ての親って言うけど、やっぱり血の繋がりがあるか
  ないかで気持ちも変わってしまうものなのよ。
  いくら自分の子だと自分で自分に言い聞かせても、主人が水商売の
  女に産ませて、その人が無理やり置いて行った、と言うのが
  ずーっと頭から離れなくてね。
  罪もないマリについつい嫌なことばかりを言ってしまった。
  今になってみると可哀そうだったと思うけど、これも業の仕業かな。
  主人は責任を感じているから、何も言えなかったんだと思う。
  ひと言ぐらい私をどなりつけてくれたら、私も少しは変わっていた
  かもしれないのにねえ。
  主人?
  あの人はずっと沈んだままだよ。
  今まで私に何も言えなかった分、自分も辛いんだろうねえ」

使枝は、マリが家出をしたのは、お母さんから逃げたかったからだと伝えると、

 「そんなこと知っていたよ。
  だって、置手紙にそう書いてあったからね。
  悪いのは主人とあの女なんだ。
  私は育ててやったんだから、嫌味を言われる筋合いはこれっぽっちも
  ないよ。
  死んじゃったのは可哀そうだけど、案外これで良かったのかもしれ
  ないじゃない」

 「マリはそのことを知っていたんですか?」

 「そんなこと話せるわけないでしょ。
  知らないまま逝っちゃったわよ。
  あの子も不運な子だよね。」

 「マリの本当のお母さんは、今どこにいるんですか?」

 「さあねえ、どこでどうしているのやら。
  連絡? 一度もないよ。」

 「置手紙、見せてもらってもいいですか。」

マリの手紙には次のように簡単に書かれていた。

    『お父さん、お母さん、しばらくの間、○○のおばちゃんの家に
     行きます。
     私がいない方が、お母さんはイライラしなくて済むでしょ。
     私も、今は家に居たくないから、ちょうど良いね。
     学校へはうまく言っておいてください。』

書いてあったのはそれだけだけど、使枝にはマリの苦悩が伝わってきた。

  マリのお母さんも辛い思いをしてきたんだろうけど、
  だからといって、マリに辛くあたってもいいということじゃない。

マリにアドバイスをした結果、事故死してしまったというこの体験は、その後もずっと使枝を苦しめた。
それ以来、友達と話をしても、自分からは何も言えず、ただ聞くことしかできない。
笑顔も消えた。
他に友達を作って楽しくしてはいけないようにさえ感じた。
今までは2人で登下校していた道を、中学を卒業するまでは1人で黙々と歩いた。
トラックが横を通るだけで、その時のマリの血の跡が頭に浮かび、気持ちがフラッシュバックして、心も身体も硬直する。

中学を卒業して高校に進学すると、当然だが、校舎も友達もガラッと変わる。
環境が変わると人の心も変わるようで、少しずつだが笑うこともできるようになった。

ある日、高校で新しく友達になった子の家に遊びに行った。
その友だちの家の本棚を見ていると、気になる本があった。
表紙の美しさに見とれていると、友達のお母さんが、「気に入ったんだったら、どうぞ持ってお帰りなさい」
と言ってくれた。
これが「シルバーバーチの霊訓」との出会いになる。

家に帰ってから中を開いてみたが、高校生の使枝には難しかった。
それでも、パラパラめくっているうちに、ある言葉にくぎ付けになった。

 ―― 墓の向こうにも生活があるのです。
     あなたがたが"死んだ"と思い込んでる人たちは、今もずっと
     生き続けているのです。

  マリが生き続けている?
  本当にそうなんだろうか。

それが本当かどうかを知る由もないが、安堵の思いなのか、それとも、そうあってほしいと願っていたことだったからなのか、とにかく胸が熱くなり、涙が次から次へと流れ出た。
使枝は床に座り込み、シルバーバーチの霊訓を抱きしめたまま、額を床につけたまま泣き続けた。

  マリは生きている・・・生きているんだ・・・

心の奥で凍っていた何かが解け始めた瞬間だった。

その後、「シルバーバーチの霊訓」を何冊か買い、マリが今どうしているのか、自分の理解は正しかったのかを知りたくて、読みあさった。
そして、気になる言葉のいくつかをノートに書き留めるようになった。
使枝は初めて書き留めたノートを出して来て、最初のページを見せた。
ノートには『死』に関することが延々と書かれていた。

 ―― このたびの事故はそちらとこちらの二人の人間にとって、
     よほどのショックだったようです。
     まだ今のところ霊的な調整ができておりません。
     あれだけの事故であれば無理もないでしょう。

 ―― あなた方はまだ霊の世界の本当の素晴らしさを知りません。
     肉体の牢獄から解放され、痛みも苦しみもない、行きたいと
     思えばどこへでも一瞬の間に行ける、考えたことがすぐに形を
     もって眼前に現れる、追求したいことに幾らでも専念できる、
     お金の心配がない……こうした世界は地上には譬えるものが
     ないのです。

 ―― 人間は不滅なのです。
     死は無いのです。
     あなた方が涙を流して嘆き悲しんでいる時、その人はあなた方の
     すぐ側に黙って立っている ― 黙って、というのは、あなた方が
     聞く耳をもたないために聞こえないことを言っているまでです。
     本当は自分の存在を知らせようとして何度も何度も叫び続けて
     いるのです。

 ―― 大体において、切なる思いや祈り、幸せを願う気持ちはその霊に
     通じ、力になります

 ―― 彼らにとって唯一の辛さは、地上に残した人々が自分のことで
     嘆き悲しんでいることです。

 ―― 死は、死ぬ人自身にとって少しも悲劇ではありません。
     あとに残された人にとってのみ悲劇なのです。

 ―― 過ぎ去った日々の中に悲しい命日をもうけて故人を思い出すと
     おっしゃいますが、
     いったい何のために思い出すのでしょう。
     そんなことをして、その霊にとってどんな良いことがあると
     いうのでしょうか。
     何一つありません!
     過ぎ去ったことをくどくど思い起こすのは良くありません。
     それよりも1日1日を1度きりのものとして大切に生き、
     毎朝を霊的に成長する好機の到来を告げるものとして、
     希望に胸をふくらませて迎えることです。
     それが叡智の道です。

自分が探していることへの答えを探す読み方ではあったが、マリが自分の側にいること、自分に向けて話しかけてくれていること、それが真実であれ、単なる言葉であれ、使枝の心の負担を軽くしていった。

地上の人間の愛は、霊にも届くことを知った。
マリはいまだに霊的調整が続いているのかもしれない。
調整が終われば、素晴らしい世界に移動できるらしい。
だから、自分はわからなくても、マリは聞いてくれている、愛が届いていると信じて、毎日語りかけた。
本当は神様に祈らなければいけないのだろうけれど、使枝はマリと会話するように祈った。

塩谷 「使枝さんにそんな過去があったなんて・・・
    傷はもう癒えたのですか?」

使枝 「軽くなりました。
     自分が言った言葉が自分を縛っているということに気が付い
     たし、自分を嘆くということは利己的ですから、早く払拭
     しなければいけないんですけどね。
     理屈では分かっても、なかなか難しいです。
     脳の奥にまだ残っているんでしょうね。
     いまだに、突然フラッシュバックするんです。
     でも、シルバーバーチの言葉が私を救ってくれたのは確かです。
     もしシルバーバーチの言葉に出会ってなかったら、いまだに
     自分を許すことができなくて、暗闇を彷徨っていたかもしれ
     ません。」

松本 「使枝さん、お若いのにそんなに辛い思いをされてきたんですか。
     大切な人が亡くなるというのは、それだけで自分の半身がなく
     なってしまうように感じますからねえ。」

塩谷 「俺もいろいろな体験はしてきているけど、友達は亡くなってない
     からなあ。
     祖父母や親戚の人たちが年老いて亡くなったぐらいかな。
     だけど、シルバーバーチの言葉で救われて本当に良かった」

松本 「天枝さんもいろいろな体験をされて来たんでしょうなあ。」

天枝 「私は使枝のような苦しみは体験してないんです。
     スピリチュアリストの中には、苦しい体験をしないと霊的真理が
     受け入れられない、と言う人もいますが、本当に可もなく不可
     もなくの平凡な人生なんです。
     ただ、ずっとコンプレックスがあって、辛いと思ってきたのは
     それぐらいかしら。
     私の場合、使枝が机の上に置いていたシルバーバーチの本を
     読んだのが、霊的真理に出会うきっかけになったんですけどね。
     こんな平凡な私が、よくも受け入れられたと思います。」

松本 「天枝さんにもコンプレックスがあるんですか。
     それはお聞きできることですか?」

天枝 「ごめんなさい。
     いつか時が来たらお話しできると思うけれど、今はまだ・・・」

松本 「そうですか、わかりました。
     しかし、天枝さんはそれだけ恵まれた人というか、選ばれた人
     だということなんでしょうなあ。」

天枝 「神は、人を選ぶということはしないと思います。
     私自身が霊的真理を受け入れられる段階に来ていた、もしくは、
     前世ですでに開花していて、今はその続きの人生なんだと思い
     ます。
     それと、スピリットの導きもあると思いますし。
     導きは、生身の私たちには理解できないほど緻密な摂理のもとで
     行われているようですから。」

塩谷 「導きですか・・・よくわかんないなあ。
     俺も導かれてここに来たんですかねえ。」

天枝 「もちろんです。」

塩谷 「へえー、そう言い切れる確信の根拠は何ですか」

天枝 「これは、自分だけがそう感じることなんですよ。
     霊的真理を知らない人は、こじつけだとか、偶然だと言うで
     しょうが、目に見えない力に引き寄せられたのは、本人だけが
     認識できることだと思います。
     私は、塩谷さんとの出会いは、導きだと感じています。」

松本 「私も、シルバーバーチとの出会いは、妻が持ち帰った小冊子が
     きっかけだったんですが、こうしてあなた方と出会って、読書会
     に参加できるようになったことを考えると、確かに導きだと
     思います。
     実はですね、妻が小冊子を持って帰って来た日、私は珍しく家に
     いましてねえ。
     もし家にいなかったら、ゴミ箱行きになっていたと思います。
     だから、出会いは導きとしか言いようがないです。」

その時、入り口のドアが開き、お客が2人入ってきた。

松本 「あ、もう終わりの合図ですね。」

塩谷 「合図? ああ、そういうことか。
     俺たちはここまでとするか。」

天枝 「今度は第2章ですから、しっかり読んできてくださいね。」

塩谷 「使枝さん、辛いことを話させちまって悪かったな」

使枝 「大丈夫です。 もう吹っ切れてますから」

松本 「さすが、真理を知っていると強くなれますなあ。
     では、また土曜日に伺います。」

こうして2人は帰って行った。

外の自然界は秋本番。
でも、天枝と使枝にとっては、長い冬が終わり、春が始まったばかり。
とりあえず、読書会が長く続けられるように努力をしていくしかない。
そんなことを思いながら、天枝はお客の注文を取るために、客が座っている席に歩いて行った。
客が座っている窓の外は、木漏れ日が眩しく輝いていた。



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