ボクの気持ち


ボクの名前は1013番。

ボクは、人間がだ~い好き!

だって、毎日おいしいゴハンをくれて、背中を撫でてくれるんだもん。

もし、ボクに人間のコトバが話せたら、絶対に、



「ありがとう!」



って、ゆーんだ!



1013番って名前の意味はわからない。



けれど、

こんなにボクをかわいがってくれてるんだから、

きっとスゴイ良い名前に決まってる!



だって、御主人様の飼っている犬の「さくら」も、

御主人様が大好きな、木の名前から付けたって言ってたもん。

だから、1013番も、御主人様が大好きな物の名前なんだよ、きっと!



そんな、ある日。

彼の小屋に友達がやって来た。



「やあ、ボク1013番、よろしくね!」

「ああっ…」

「キミの名前は?」

「1059番だ」

「へー、仲良くしてね!」

「ふっ… 仲良くか… 仲良くした所で、どーせ、俺達…」

「おれたち?」

「俺達、みんな殺されて、人間に食われておしまいさ…」



「ウソだっ!!」



「あんなやさしい御主人様が、ボクを殺して食べるなんて、絶対にありえない! 御主人様にあやまれ!!」

「はー… なんとまあ、健気だな… まあいいさ、そのうちわかる!」



そんなある日、ふたりは車に乗せられる。



「今日はピクニックに連れて行ってくれるのかなあ!」

「バカだな、殺されに行くんだよ…」

「キミはまだそんな事言ってるの? もうっ!」











「あれっ? なんか眠くなって来たぞ??」

「あれ…れ……」











「う~ん…」

「ここはどこだろう?」



「!!」



1013番の目の前には、無残にも首を刎ねられ、生皮を剥がされて吊るされた、自分の体が!



「そっそんな… ボクの… ボクのカラダが……」



「だから言っただろ、俺達殺されて、もう霊になっちまったんだよ! さあ、いつまでもこんなところにいないで、一緒に天国に行こうぜ!」



「ゆるせない………」



「おいバカ! 人間を怨んじゃダメだっ! 天国に行けなくなるぞ!!」



「絶対にゆるせない… 信じてたのに… ボク、人間を信じてたのに!!!」



「バカ! やめろ!! 戻って来いっ!」



「ゆるせない! 絶対人間に取り憑いて、御主人様、ボクを殺したヤツ、ボクのカラダを食べたヤツ、全員皆殺しにしてやるっ!!」









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霊的故郷