時間旅行


それは、私が小学校高学年の時の話。



「ドラえもん」の時間旅行理論が、その話毎に全く異なる理論を使用していて、しかもそれのどれもが矛盾だらけなのに憤慨し、絶対に矛盾しない時間旅行理論を構築しようとして、ひとつの結論に辿り着いた。



それはもちろんあくまで仮説だが、しかし少なくとも、確実に矛盾しない時間旅行理論ではあった。



「霊的真理」により、現実の時間旅行の実在が判明したので、ここでは私が小学生の時に考えた理論と、現実の時間旅行理論とを比較してみたいと思う。



私の理論は、以下のような物だ。



時間旅行は理論的に可能である。

しかし、同次元時間上の任意点に時間移動する事は、絶対に不可能である。

したがって、同次元時間上の任意点に未来から未来人、過去から過去人が来る事も、絶対に不可能である。

現れる瞬間に、必ず時間の高次元移行(時間的ビッグバン)が発生する。

高次元移行する時間への時間旅行だけが、理論的に可能なのである。



これは、いわゆるパラレルワールド理論のように、時間が枝分かれして平行移動するという意味ではない。

あれはあれで、矛盾している。



「同次元時間上の任意点」の定義を、「一次元時間上の任意点」と定めた場合、

全ての一次元時間上の「時間軸」そのものが、二次元時間上に平「面」移動し続けていくという意味なのだ。



しかし、このような小学生でも思いつく理論は、すでにどこかの科学者が発見しているのだろうが、取り合えず、この理論を有名な「親殺しのパラドックス」を用いて、出来るだけ解りやすく説明してみよう。



「親殺しのパラドックス」とは、



過去へ行ったあなたが、自分の誕生前の両親を殺害した場合、両親はあなたを生む前に死亡するので、あなたは「生まれていなかった」事になる。

しかし、あなたが生まれていなければ、両親が死亡する理由がそもそもないという、パラドックスの事だ。



しかし、この理屈はそもそもおかしい。



上の説明のように、同次元時間上の任意点に時間移動する事は不可能なので、そもそもあなたを生んだ両親には絶対に会えないのだ。



まず、一次元時間上の時間軸を縦軸、二次元時間上の時間軸を横軸と定める。

あなたが殺害出来るのは、横軸移動した時間平面軸上での、縦軸の過去の両親なのだ。

その縦軸の過去の両親をいくら殺害しても、本当のあなたを生んだ両親は、高次元移行する前の、縦軸の過去の両親なので、



あなたを生んだ両親は死んでおらず、あなたを生むまで生きているのだ。



当然、タイムパラドックスは起きないのである。



そもそも、なぜ同次元時間上の任意点に時間移動出来ないのか?

考えてもみて欲しい、あなたが過去や未来に行ったらどうなるのかを。



まず、一次元時間上のどの部分にも、そのような事実の無い、過去から未来までの縦軸の時間軸がある。

仮に、あなたがその任意点に時間移動したら、どうなるだろう?

そもそもそんな事実の無い縦軸の時間軸には、あなたでも、たとえ電子1個でも、クォーク1個でも、この時間と違う時間の物体は存在していない。

つまり、同じ宇宙に全く同じ物質は2つ存在していない。

同じ物体が2つ存在していないという、縦軸の時間軸が、既に存在しているので、そこに他の時間から何が現れようと、それは元の時間軸とは違う世界、



「同じ物質が2つ存在している世界」



なのである。



ほら、ここで2つの縦軸の時間軸が存在した事となり、二次元の時間、つまり、高次元移行(時間的ビッグバン)が起きている。



この時点であなたが現在に戻っても、あなたは二次元時間上の未来、「横軸未来上の、縦軸未来」に帰る事になり、あなたが生きている限り、ずっとこの横軸と縦軸の時間平面上を、右上か、右か、右下に移動していく事になる。

つまり、そのまま暮らせば右上へ行くだけだが、過去へ時間旅行すれば右か右下の過去へ、未来に時間旅行すれば更に右上の未来へと行く事になり、何をしても横軸の時間は刻々と作られていくのだ。



パラレルワールド理論では、再度時間旅行した際、最初の時間軸にも移動出来てしまう。

それで、どんどんタイムパラドックスが起きていくのだ。



私の理論では、その後どんなに時間旅行を繰り返しても、横軸の右方向にある縦軸の過去と未来に行くだけなので、絶対にタイムパラドックスが起きないのだ。



私はここまで理論構築した時点で、ハタと気付いた。



横軸の過去(上か斜め左上の未来、左か斜め左下か下の過去の5パターン)には絶対に行かれないのだろうか?



新しい概念のタイムマシーンを作ったらどうなのだろう?



横軸の時間旅行、つまり、



二次元時間移動タイムマシーンを発明したらどうなるのか?



結果は同じである。



どちらにしても、そもそも一次元時間上の任意点には移動出来ないので、その集合体である二次元時間上の任意点にもやはり移動出来ないのだ。

ここでまた、高次元移行(時間的ビッグバン)が起きて、時間が三次元、つまり立体時間になるだけの話、やはり、横軸の過去へは行けないのである。(行けるのは、あくまでも横軸の過去に似た世界である。)

これで、いくら新しいタイムマシーンを作っても、四次元時間、五次元時間とひたすら高次元移行していくだけで、同次元の過去には絶対に行かれない事実に気付く。



という訳で、結論として。



同次元時間上の任意点に時間移動する事は、絶対に不可能であり。

高次元移行する時間への時間旅行だけが、理論的に可能なのである。



ちなみに、この高次元の時間は、時間旅行者が死ねばそこで右移動も止まるという理論だったのだが、人が永遠に死なない存在である以上、この時間も止まらず、結局その人は、本来の縦軸の時間軸から見たら、「行方不明者」という事になっているので、ある意味、永遠の孤独感を味わい続ける事となってしまう…



さてそれでは、現実の「霊的真理」により明らかになった時間旅行は、一体どういったものか、見てみよう。



霊的真理では、時間旅行は過去へは霊界の「記憶層」(確定過去)へ、未来へは霊界の「予知層」(不確定未来)へ行く事を教えている。

この理論でもタイムパラドックスは起きない、つまり同次元時間上の任意点に時間移動していないからだ。

そうすると、一見私の理論に似ているのだが、決定的に違う点がある。



例えば、現在はすでに回収されている沈没船の宝の情報を得て、それが回収されるより前の時間に行き、その宝を先に奪ってどこかに埋め、未来に戻って掘り起こす場合、

私の理論では、そこに宝があるのに対し、霊的真理の時間旅行はあくまで「記憶層」、つまり録画した世界へ行くので、そこで何をしようとも、再び時間旅行をした時点で、未来での宝は消えてしまうのだ。

この場合、未来に戻らず、その場で宝を売り贅沢三昧をすれば一生遊んで暮らせるが、そもそも我々はこの物質界に修行をする為に来ているので、そんな事をしてもペナルティが増えるだけ、類魂メンバーにも迷惑がかかるだけの話なのである。



何にしても、実際の時間旅行は、私の理論のように時間旅行者が永遠の孤独感を味わわずに済むので、その点は一安心である。



実際の時間旅行はもちろん、霊が進化する為の学びの一環として、使用されているのである。



本当の大人」へもどる
目次」へ

小説」へすすむ

霊的故郷